ウィズコ通信“道”2月号 今月のコラム

「法務局による自筆証書遺言書の保管制度」について

年が明けて、早1ヶ月が過ぎました。このコラムは2月初めに書いていますが、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の1か月延長が決定しました。賃貸は繁忙期ですが、法人や学生の引越しが少なくなっているように感じます。一刻も早い終息が待ち遠しいですね。
今月は、昨年7月よりスタートした「法務局による自筆証書遺言書の保管制度」についてお話ししたいと思います。
相続で一番重要になるのは、遺産分割対策です。遺産分割がスムーズにいかないと、節税対策も納税対策も意味がなくなってしまいます。遺産分割は生前の対策が重要で、その中でも「遺言書」は非常に有効なので、新しい制度の「法務局による自筆証書遺言書の保管制度」をご説明します。

●遺言書の種類

遺言書は遺産の分け方を示した法的な書類であり、法律で定める方式に従わなければならず、「遺言の方式」「遺言の効力」「遺言の失効」「遺言の取消」などの規定が民法に定められていて、要件を満たさなければ、法的効力はありません。

逆に遺書には法的な効力はなく、自分の気持ちを伝える手紙なので、こちらに財産の分け方を記しても法的な効力はありません。

遺言書の効力は大きく分けて、次の5つができ、
 ① 誰に何を渡すのか
 ② 相続する権利をはく奪できる
 ③ 隠し子を認知する
 ④ 遺言執行者を指定できる
 ⑤ 保険金の受取人を変更できる
などが上げられます。
  遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」のおもに3つ種類があります。それぞれ決められた様式があり、様式を満たしていることが重要になります。(上に内容・様式を簡易の一覧にしました)

●「自筆証書遺言」について

「自筆証書遺言」は最も簡易的な方法になります。
メリットとしては「費用がかからない」「いつでも自分の好きな時にかける」があげられます。デメリットとして「保管が自己責任」「誰かに遺言書の存在を伝えておかないと、死後に見つからない」があります。また、要件として本人が全文・日付・氏名を自筆し、押印していないと認められません。2019年1月13日以降、財産目録はパソコン等で作成したものや預金通帳の写し等を添付する事が可能になりました。(自書によらない部分があるすべてのページに遺言者の署名・押印が必要)

押印は実印である必要はなく、認印や指印でも有効です。本文中に押印が無くても、遺言書をいれた封筒に封じ目に押印があれば、有効となります。
一番の注意点としては、家庭裁判所の検認が必要な事です。検認とは相続人に対して遺言の存在と内容を知らせる手続きで、家庭裁判所に検認の手続きを申し立てると、裁判官が相続人による立合いのもとで遺言書を開封します。
万が一、検認を受けずに勝手に開封してしまうと、5万円の過料に処されることになります。ただし、検認の作業は証拠保全のためであり、検認が無いからと言って無効になるわけではなりません。
後で説明しますが、今回はこの「自筆証書遺言」を法務局で保管する制度が始まりました。せっかく様式を満たしていても、保管先が分からないことがあったので、この制度でより利用しやすくなりました。

●公正証書遺言、秘密証書遺言について

「公正証書遺言」は公証役場の「公証人」が作成します。
公証人は裁判官や検察官のOBが大半なので、法律のプロが作成しますので、作成までに手間や費用が発生しますが、様式や内容も適法で正確なので、
自筆証書遺言に比べて無効になりにくく、検認も必要なく、原本は公証役場が保管するので改ざんの心配もありません。また作成には証人が2人必要となり、証人の要件(未成年、推定相続人及び受贈者ならびにこれらの配偶者および直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人は不可)がある為、血縁でない友人知人に依頼するか、弁護士や公証人に依頼しなければなりません。
公正証書遺言を作成する手数料は、相続財産の価格に応じて算出され相続人の数によって個別に発生します。
 
例えば、1億円の遺産を配偶者と子供2人で相続する内容の遺言書を作成した場合は
 配偶者 5,000万円 ⇒ 手数料 29,000円
 子供1 2,500万円 ⇒ 手数料 23,000円
 子供2 2,500万円 ⇒ 手数料 23,000円     
 合計手数料 : 75,000円
 ※上記はあくまで、遺言書を作成するための手数料の為、証人を弁護士などに依頼する場合の費用は別途かかります。
 
遺言の内容を誰にも知られたくない場合に利用するのが「秘密証書遺言」です。遺言者が自作した遺言書を公証役場に持参して、遺言書の存在を公証役場で記録してもらいます。しかし、内容を公証人などが確認するわけではないので、不備が残る可能性があるため、現状ほとんど利用されていない状態です。

●自筆証書遺言の保管制度について

自筆証書遺言のデメリットであった 
 ① 紛失
 ② 改ざん
 ③ 検認の必要性
を緩和するため、令和2年7月より法務局による保管制度が開始されました。法務局で保管される為、検認が不要になり、内容のチェックはされないものの形式はチェックされるので、日付が書いていない遺言書は保管されず、不備に気づくことができます。(内容に不備があれば無効となる)
申請ができるのは遺言者本人に限られ、申請1件につき3,900円(収入印紙で納付)がかかります。遺言者は、いつでも保管の撤回を申請することができ、原本やその画像データの閲覧も可能です。
遺言者の死後であれば、関係相続人等であれば閲覧できますが、閲覧すると他の相続人等へ遺言書が保管されている旨が通知されます。
保管申請の際に申請すれば、推定相続人のうち1名に、死後、遺言が保管されている旨の通知をしてもらうことができます。
遺言者の死後、遺言書が保管されているかどうかを確認したい場合、「遺言書保管事実証明書」の交付申請できます。誰でも請求できますが、相続人以外が請求した場合、遺言書が存在していても、請求者を受遺者にしている内容でない限り、請求者を受遺者とする遺言書は存在していない旨を証明するものになります。

●自筆証書遺言の保管制度の注意点として

手続きは全ての法務局で出来るわけではありません。
 ① 遺言者の住所地、② 遺言者の本籍地、③ 遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局ですが、全ての法務局が対応しているわけではありません。このエリアでは名古屋本局、一宮支局、津島支局などは対応していますが、熱田出張所や名東出張所は対応しておりませんので、本局へ行くことになります。また、予約なしでも申請することは出来ますが、予約を優先されるので、予約をして窓口へ申請に行くことをお勧めします。


資産コンサル部 上級相続支援コンサルタント
上屋 雅樹(うえや まさき)
※本名は「かみや」ですが同店舗にもう一人「神谷」がいるので社内では分かりやすく「うえや」にしています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士2級建築施工管理技士の有資格者。賃貸7年、売買17年の実績で西尾張の不動産ならどんなことでもご相談ください。

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