ウィズコ通信“道”7月号 今月のコラム

「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)」について

こんにちは。資産コンサル部の上屋(うえや)です。
当社では6月から9月末までクールビズを採用しておりますが、今年は当社のロゴ「WIZCO」が胸にはいっているポロシャツを新調しました。ミズノの速乾性がある生地の為、とても通気性があり、涼しく毎日着用しております。 今年の夏もとても暑くなりそうですが、これで快適に過ごせそうです。
 さて、今月は先月の心理的瑕疵についての取り扱いについてご説明しましたが、孤独死などの場合に問題になる残置物の処理についても国土交通省よりモデル条項の発表がありましたので、ご説明したいと思います。

●孤独死などが問題に

賃借人の死亡後、相続人の所在が分からない場合には、賃貸借契約の解除や残置物の処分が困難になることが多いため、単身高齢者に対してのお部屋の賃貸をお断りすることがあります。
 賃貸人の立場から見れば当然ですが、国は先月号でもご説明したように、こうしたトラブルを回避して高齢者の居住の安定を図るために、「事故物件ののガイドライン」や今回の「残置物の処理」について、賃貸人の不安を払拭する施策を発表しております。
 6月7日に国土交通省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)」を策定しました。

●残置物の処理等に関するモデル契約条項について

国土交通省と法務省では、死後事務委託契約を締結する方法を検討し、賃借人の死亡後に契約関係および居室内に残された家財(残置物)を円滑に処理できるよう、①賃貸借契約の解除および、②残置物の処理に関する委任契約書のひな形を策定しました。
 モデル契約条項では、単身高齢者(60歳以上の者)の入居時を想定し、受任者に対して、賃借人の死亡後に賃貸借契約を解除する代理権を与え、残置物の処理については、受任者に対し、賃借人の死亡後に残置物の廃棄や指定先への送付する事務を委任し、賃借人は「廃棄を希望しない残置物」を特定するとともに、その送付先を明示します。
 受任者は、賃借人の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄します。ただし、換金することができる残置物については、換金するように務める必要があるとしました。

①賃貸借契約の解除について

本来、賃借人が死亡すると賃借人としての地位は相続人に相続されるため、契約が解除されると相続人が賃借人の地位を失うことになります。そのため、契約解除の事務委任契約の受任者は推定相続人がすることが望ましく、推定相続人の所在が分からない場合や、推定相続人に受任する意思がない場合には、居住支援法人や居住支援を行う社会福祉法人のような第三者が受任者となることが望ましいとされています。
 賃貸人は賃借人の利害を害する恐れがあるため、契約解除の事務委任契約についての受任者にすることは避けるべきであるとしました。また、管理会社を受任者とする場合も賃貸人の利益を優先することなく、委任者である賃借人の利益の為に誠実に対応する必要があるとしました。

具体的な契約内容は、第一条には委任者である賃借人が死亡したことを停止条件として、①賃貸借契約を賃貸人との合意により解除する代理権および、②賃貸借契約を解除する旨の賃貸人の意思表示を受領する代理権を授与する内容となっています。
 受任者は委任者が死亡した時にはじめて、その効力が発生することになります。そして、賃貸人と合意解約する代理権と賃貸人からの解約を受託することができるとしました。
 第二条では、受任者が委任者の意向に従って、委任者の利益の為に委託事務を行うことが記載されています。例えば、生前に「子の〇〇が住みたいと言えば住まわせてあげてほしい」と意向を聞いていれば、それの意向に沿った決定をする義務を負うことになります。
 第三条では、この契約解除の事務契約終了についてが規定されており、①本賃貸借契約が解除されたときは当然ながらこの契約解除の事務契約も終了します。また、②受任者が委任者の死亡を知った時から【6ヶ月】が経過した場合と、死亡を知った時から一定期間が経過した場合も終了するとしました。(※【】内の期間は任意で決定する)
 これは、受任者が委任者の意思に従って、契約解除をしない場合に、いつまでも契約解除ができる意味もないので、一定期間が経過した段階でその効力を失うようにしたわけです。
 ただし、委任者の死亡を知った時からとして、受任者が死亡を知らなかった場合は除くような規定としました。

②残置物の処分に関する委任契約書について

大まかに分けると、①受任者に対し、賃借人の死亡後に残置物の廃棄や廃棄しない動産を指定先への送付事務を委任するとした内容と、②受任者は一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄する。ただし、換金できる残置物に関しては換金するように務めるとした内容となっております。
 指定残置物リストを作成し、廃棄してはいけないものを指定することもでき、死亡時の通知先を決めておき、受任者はそちらへ送付しますが、換金した金銭や残されていた金銭などはは相続人に返還することになります。
 そして、廃棄もしくは換金するために物件内の動産を搬出する場合は、2週間前までに委託者死亡時の通知先へ通知する、また、搬出時には第三者(賃貸人、管理会社もしくは仲介業者など)の立会のもと、廃棄するものの状況を確認・記録しなければならないと記載されていました。
 また、廃棄や送付にかかった費用は相続人に対し、支払った日以降に利息も含め請求することができ、換金した金銭がある場合には、これを費用もしくは利息に充当し、残額を返還することも可能としました。

●単身高齢者契約の注意点として

今回の「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は、あくまでもひな型の為、法律的な規定ではありません。今回の契約条項を利用して単身高齢者の居住の安定を図りたいと考えているようですが、そもそも、相続人がしっかりしていれば、契約解除や残置物の処理問題もないわけで、問題になるのは、相続人との関係が良くなかったり、そもそも相続人がいない場合にこのような契約条項で、第三者に委託することになる為、単身高齢者契約の場合は特に相続人が対応してくれるかが重要になるので、入居審査時にそのあたりの確認をすることをお勧めします。


資産コンサル部 上級相続支援コンサルタント
上屋 雅樹(うえや まさき)
※本名は「かみや」ですが同店舗にもう一人「神谷」がいるので社内では分かりやすく「うえや」にしています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士2級建築施工管理技士の有資格者。賃貸7年、売買17年の実績で西尾張の不動産ならどんなことでもご相談ください。

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