ウィズコ通信“道”11月号 今月のコラム コピー

「原状回復と設備不良の賃料減額のガイドライン」について

こんにちは。資産コンサル部の上屋(うえや)です。
 今年は秋がほとんどなく、急に冬がきたような寒さになっていますね。10月に緊急事態宣言が解除され、コロナウイルスも急激に沈静化してきましたが、これからはインフルエンザも流行する時期なので、今後も注意が必要ですね。
 さて、今月は「原状回復と設備不良の賃料減額のガイドライン」についてご説明します。

●原状回復ガイドラインとは

賃貸契約では、退去時の原状回復で貸主と借主がトラブルになることが多いので、標準契約書の考え方や裁判判例、取引の実績などを考慮して原状回復の費用負担が妥当だと考えられる一般的なガイドラインとして国土交通省が平成10年3月に取りまとめたもので、平成16年2月及び平成23年8月には裁判事例及びQ&Aを追加したものになります。
 このガイドラインは、市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しており、既に賃貸借契約を締結されている方は、現在の契約書が有効になるため、これから賃貸借契約を締結する場合に参考にしてもらうものとなります。要するにトラブルを防止するためには「出口」の問題ではなく、「入口」すなわち入居の時が重要になるわけです。契約締結時に原状回復などの契約条件を双方でよく確認し、納得することがトラブル防止のためには有効です。

●原状回復ガイドラインのポイント

 

原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減額のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれるとしました。
 よって、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないと明確化しております。
原状回復費用で借主が負担するのは、補修費から経年変化や通常使用の損耗部分の補修費を差し引いた異常損耗(借主の故意・過失による損耗)分のみとなります。
 そのため、設備の対応年数に応じて新品を100%として、対応年数が6年(クロスやカーペットなど)であれば6年経過すれば残存価値は1円まで減少するため、借主の負担は減少します。しかし、対応年数を超えた設備に関しても借主は善良な管理者としての注意を払って使用する義務は負うことにはなりますので、借主の故意・過失によって破損し、使用不可にしてしまった場合は本来の機能を取り戻すための費用は借主の負担となることがあります。

●借主負担に該当しない事例として

以下のものはガイドラインの考え方では貸主が負担するものとなっております。
●次の入居者を確保するためのグレードアップに該当するもの
 畳の表返し、表替え(破損がない場合)、フローリングのワックスがけ、網戸の張替え(破損がな
 い場合)、ハウスクリーニング(専用業者による)、エアコンの内部洗浄、消毒(トイレ、浴室)
●通常の使用による損耗に該当するもの
 家具設置の床やカーペットのへこみ、畳やフローリングの変色(日照による)、テレビ、冷蔵庫の裏側の黒ずみ、 壁に貼ったポスターなどの跡、エアコン設置によるビス穴や跡、クロスの変色(日照による)

●設備不良による賃料減額のガイドラインについて

2020年4月1日から施行された改正民法により、貸室・設備が壊れて使えなくなった場合、入居者の過失でなければ、賃料はその滅失部分の割合によって減額されると規定されました。
これまでは「減額請求ができる」とされていましたが、改正民法では「減額できる」となりました。
これまでは減額請求が出来るだけで、必ず減額される訳ではありませんでしたが、これからは しかし、民法では明確な規定を定めていません。そのため当社も加盟している日管協は目安となる賃料減額のガイドラインを作成しました。

●ガイドラインの説明として

設備不良が発生した場合、まず右図のA群に該当するかを確認し、該当する場合は免責日数を差し引いて、
減額割合で計算します。A群に該当しない場合は、B群に該当するかを確認し、該当すればA群と同様に賃料の減額を計算します。減額は日割り計算で行います。
(計算例:電気が10日使えなかった場合 月額賃料100,000円)
 月額賃料100,000円×賃料減額割合40%×(10日-免責日数2日)/月31日 
              = 約10,322円の賃料減額(1日あたり332円) 
 ※免責日数とは、物理的に代替物の準備や業務の準備がかかる時間を一般的に算出し、賃料減額割合の日数に含まない日数を指します。

●ガイドラインの注意事項

このガイドラインはあくまでも目安のため、法的な拘束力はなく、必ずこちらを使用しないといけないものではありません。また、台風や震災などの天災や、貸主・借主双方に責任がない場合でも賃料の減額は認められますが、供給元が原因の不具合は減額対象になりません。あくまでも貸室設備の不具合が原因となるものに限られます。当然ですが、借主の善管注意義務違反に基づく不具合も対象外です。
 上記とは別で、風呂が使えないため銭湯を利用した場合などの銭湯代も保証することになります。


資産コンサル部 上級相続支援コンサルタント
上屋 雅樹(うえや まさき)
※本名は「かみや」ですが同店舗にもう一人「神谷」がいるので社内では分かりやすく「うえや」にしています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士2級建築施工管理技士の有資格者。賃貸7年、売買17年の実績で西尾張の不動産ならどんなことでもご相談ください。

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