ウィズコ通信“道”12月号 今月のコラム

「相続時精算課税制度」について

こんにちは。資産コンサル部の上屋(うえや)です。

急激にコロナウイルスの新規感染者数が減り、世間も動き始めた今日この頃ですが、年末年始はどのようにお過ごしの予定でしょうか?

私はもともと出かけることが好きなので、2年ほど自粛生活していましたが、年末は近場でもどこかに出かけたいなと計画を立てています。

さて、今月は『相続時精算課税制度』についてご説明させて頂きます。

●相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、2500万円を上限として贈与税を払うことなく生前贈与できる制度のことです。この制度は、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子供もしくは孫に財産を贈与した場合に利用できます。

 60歳以上の親や祖父母から生前贈与を2500万円まで無税で行うことが出来ますが、贈与者が亡くなったときに、これまでの贈与分を相続財産として加算され相続税が発生します。

 つまり、本来であれは財産を贈与した時に発生する贈与税を相続時まで先延ばしすることができる制度ということです。

●相続時精算課税制度のメリット

①贈与税が2500万円までかからない

  一般的な暦年贈与の場合、年間で110万円までしか控除されません。暦年贈与で2500万円を贈与しようとすれば約23年ほどかかりますが、この制度を利用すれば1年で2500万円を無税で贈与することができます。

また、暦年贈与の場合は、2500万円以上の金額に対して45~55%の累進課税がかかりますが、この制度を使えば、2500万円以上の超えた金額に対して一律20%の贈与税しかかかりません。

②まとまった額を贈与できるので相続時の争いを防げる

  特定の人に財産を贈与したい場合には、生前に多くの財産を贈与出来るため、相続時の争いを防ぐことが出来ます。生前贈与を行わず相続が発生した場合は、法定相続人たちで遺産分割協議をまとないと相続できません。

例えば父親の相続時に息子3人がいて、父親が会社経営をしているような場合で、三男に会社を継承させたい場合、この特例を利用していないと、一般的な考えでいくと長男が会社を継ぐことになると思います。

このような可能性があるような場合にも、相続時精算課税制度で株や資産を贈与することは有効になります。

③将来の相続税を節税する

事業継承をする場合、自社株の価値が低いうちに後継者へ贈与したり、賃貸不動産など継続して利益を生むものを贈与することで、将来の相続税を節税することができます。

●相続時精算課税制度のデメリット

①一度でも使うと暦年贈与が使えなくなる

相続時精算課税制度を利用した場合、そのあと暦年贈与(年110万円の非課税枠)は利用できなくなります。

ただし、この制度は贈与者ごとに適用されますので、贈与者ごとにどちらを利用するか判断することが重要になります。(父親は相続時精算課税制度、母親は暦年贈与など)場合によっては、暦年贈与で長期間少しずつ贈与する方が良い場合もありますので、慎重に利用を決める必要があります。

②必ず贈与税の申告が必要になる

相続時精算課税制度を利用すると、この後は金額の大小に関係なく、税務署へ申告が必要です。暦年贈与の場合は、110万円までは申告の必要はありません。

③小規模宅地等の特例が利用できなくなる

相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、その土地に小規模宅地等の特例を適用することができなくなります。

 小規模宅地等の特例は一定要件を満たすと土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度ですが、この特例は相続した土地に対してのため、生前に贈与した土地には認められません。そのため、土地を相続時精算課税制度で贈与するのはしっかりと検討が必要になると思います。

●この制度を利用したいケース

①住宅取得や起業のため資金を贈与

家を建てる場合や事業を始める時には、一時的に多額の費用が必要になります。暦年贈与ですと110万円までしか控除ができないので、2500万円まで控除できる相続時精算課税制度を利用することで効果的に利用できます。また、住宅取得資金贈与の場合は、今年12月末までは直系尊属(父母や祖父母)からの自己居住の用途に供する住宅の新築もしくは取得または増改築のための資金であれば、一般住宅で1000万円、質の高い住宅で1500万円までは非課税で贈与することができました。

時限立法のため、延長がないと来年以降は利用できなくなるため、相続時精算課税制度を利用することが増えそうです。(先日2年延長するニュースが出てましたが)

②将来、価値が上昇すると見込まれる資産の贈与

開発中の土地や今後値上がりする株などがあれば、早期に贈与をして相続財産を減らしていたおいた方が将来支払う相続税を減らすことができますので、相続時精算課税制度は有効です。

また、贈与後に収益を生む資産(賃貸マンションなど)も早めに贈与すれば資産のその後は相続人のものとなるため、相続財産を増やすことを防ぐことが出来ます。

③相続時に遺産の金額が基礎控除以下となる場合

相続時精算課税制度を適用して贈与した財産を相続財産に合計しても、その合計額が基礎控除額以下であるならば相続税は課税されません。基礎控除額以下であれば次世代へ早めに移転をする方法として有効だといえます。

●来年度には税制の改正があるかも

2022年4月から、年間110万円までの暦年贈与の非課税枠が廃止されるかもと先日のニュースで取り上げられていました。これは昨年12月に公表された「令和3年度税制改正大綱」内で「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」と記載があり、今後は相続税と贈与税の一体化をしていくようです。

 一体化が進めば、110万円の贈与税非課税枠は廃止されると予想されています。まもなく発表の「令和4年度税制改正大綱」が発表される予定で、 早ければ来年4月から改正されるかもしれません。


資産コンサル部 上級相続支援コンサルタント
上屋 雅樹(うえや まさき)
※本名は「かみや」ですが同店舗にもう一人「神谷」がいるので社内では分かりやすく「うえや」にしています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士2級建築施工管理技士の有資格者。賃貸7年、売買17年の実績で西尾張の不動産ならどんなことでもご相談ください。

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