ウィズコ通信“道”1月号 今月のコラム

「生産緑地と2022年問題」について

新年あけましておめでとうございます。資産コンサル部の上屋(うえや)です。

 皆様、年末年始はいかがお過ごしでしょうか?うちは年末に久々の家族旅行に行ってきましたが、それなりに人手が増えたとは思いますが、

まだまだ本来の観光地の状況とはほど遠いなと感じました。

年始からまた、オミクロン株が蔓延してきましたが、早めの終息を期待します。  

さて、今月は『生産緑地と2022年問題』についてご説明させて頂きます。

●生産緑地とは

市街化区域にある農地で、生産緑地法により各自治体から認定されると「生産緑地」として、固定資産税が農地並みになったり、

相続税の納税猶予が与えられる代わりに、土地所有者は死亡などの理由で農業を廃業するか、指定された日から30年を経過するまでは

農業を続けなければならず、その土地は売却も出来なる制度です。

 この制度は1991年から始まり、下記のような土地が指定することができました。

 ①良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの

 ②500㎡以上(市区町村が条例で300㎡以上に変更可)の面積があるもの

 ③農林業の継続が可能な条件を備えているもの

 30年経過後は行政に対して土地を買い取るように求めることが出来るようになり、買取になれば行政は公園など公共施設に利用しますが、

多くの場合はすべてを買い取る財政的余裕がないため、ほとんどの場合は、農地経営者への買取あっせんをして、買取をするものがいなかった場合は

生産緑地が解除されます。

 バブル期を経た1992年には、宅地供給が促進され市街化区域の農地も固定資産税などの課税を強化したため、生産緑地制度を利用する方が

一気に増えました。

●2022年問題とは

生産緑地は30年間指定されますが、2022年は1992年度に指定された生産緑地が一気に期限を迎えるため、これまで売却できなかった市街化区域の農地が

一気に不動産市場に出ることが予想されており、これにより、土地価格が下落する問題を「2022年問題」といいます。

 今、農業従業者はどんどん減っていく一方なので、生産緑地が解除になれば売却するか活用しないと税制優遇がなくなるため、固定資産税が払えない

方はそのまま保有することが難しくなります。

 今年はその2022年のため、どの程度の影響があるかが注目されています。

●特定生産緑地制度の創設

 生産緑地が解除された多くの農地が宅地として不動産市場に供給されると、地価の下落を引き起こして不動産市場全体へ影響が及ぶことになります。

そのため、2017年6月に改正都市緑地法が施行され、生産緑地の指定から30年経過後、さらに10年ごとの延長が認められる事となりました。

 これが「特定生産緑地制度」で、延長した10年後も再度10年の延長ができるため、相続税の納税猶予を受けていて、次世代でも納税猶予を希望する

場合には、特定生産緑地制度を利用することが予想されています。

 しかし、そのためには次世代においても、引き続き農業経営をすることが前提となるため、農業経営が出来ない場合は、

延長を選択できなくなります。

●地価動向について

2022年問題で地価の下落が予想されていますが、現状の地価動向はどうなっているのかというと、交通の利便性が高い住環境の優れた住宅地や

オフィス需要の高い商業地、訪問客の増加が見込まれる店舗、ホテルがある中心地は地価上昇が続いていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響に

よる先行き不安から需要が弱まり、上昇傾向から横ばいまたは下落傾向に転じてきました。

 一部では上昇している地域もあるようですが、全国的には下落傾向が見られます。令和3年度の公示価格(2020年1月1日時点)では、全国平均で

住宅地が0.4%の下落、商業地が0.8%の下落となり、住宅地では5年ぶりの、商業地では7年ぶりの下落なりました。

今後、生産緑地が一気に解除され供給過多になれば、その傾向がさらに進むと予想されます。とくに生産緑地の多くは住宅地に多く、住宅地では

新型コロナウイルス感染症から購入者が慎重になることもあり、今後もその傾向は続くと思われます。

●愛知県で影響があるエリア

愛知県の生産緑地は、1番目は名古屋市で約270ヘクタールと全国5位の広さとなっております。1ヘクタールが約3000坪なので、50坪の家であれば

1ヘクタールで60戸確保できる事になり、270ヘクタールであれば16,200戸分と、とても広大な土地になります。

 2番目に多いのが一宮市で約138ヘクタール、3番目が岡崎市の約92ヘクタール、4番目が豊田市の53ヘクタールと続きます。

 西尾張エリアだと、津島市が13位の約25ヘクタール、稲沢市が21位の約13ヘクタール、清須市が22位の約12ヘクタール、あま市が25位の

約9ヘクタールとなっております。

 各自治体の都市計画図から調べることができますので、それ以外の地域は一度ネットなどで検索してみてください。

(「自治体名+都市計画図」で検索してください)

 名古屋市や三河エリアなど人気エリアは購入希望者が多いので供給が増えれば、これまで名古屋で購入できなかった方が、仕方なく近隣エリアに

流れていたと思われますが、今後は希望エリアで購入できる可能性が高くなるためどちらかというと郊外のエリアの方が影響を受けると予想されます。

●今後の展望は

2022年にどれくらいの生産緑地が指定解除を選択し、宅地として市場に供給されるかによって影響は変わってくると思いますが、先ほど説明した

「特定生産緑地制度」の創設で、指定を10年延長できるようになったことと合わせて、都市農地の賃貸の円滑化に関する法律(都市農地貸借法)が

2018年に施行され、納税猶予を受けたままで、農業経営を行う企業や市民農園を営む企業へ農地を貸すことができるようになりました。自分で農業運営

が出来ない場合でも納税猶予を受けることが出来るため、特定生産緑地制度を利用しやすくなりました。

 また、行政も市街化区域内の農地は災害時の一時避難場所として活用したり、市民農園として市民の憩いの場にするなど、特定生産緑地制度の周知を

積極的に行い、制度を利用してもらうようしていくはずです。

 このような状況を踏まえて、生産緑地の多くはその後も特定生産緑地制度を利用するのではないかと思います。そのため、解除された農地が市場に

宅地として供給されるのは限られてきそうですが、比較的利便性が高く、売却した方がよいと判断する地主も一定数はいるはずなので、地域によっては

市場に影響が出てくると考えられます。


資産コンサル部 上級相続支援コンサルタント
上屋 雅樹(うえや まさき)
※本名は「かみや」ですが同店舗にもう一人「神谷」がいるので社内では分かりやすく「うえや」にしています。
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士2級建築施工管理技士の有資格者。賃貸7年、売買17年の実績で西尾張の不動産ならどんなことでもご相談ください。

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