ウィズコ通信“道”6月号 今月のコラム

「所有者不明土地の解消に向けての不動産に関するルールの変更について(後編)」について

こんにちは。売買事業部の神谷(かみたに)です。

 6月に入り梅雨の季節ですね。梅雨の時期の花といえば何を想像されますか?やはりアジサイを思い浮かべる人が多いと思われます。色とりどりのアジサイが雨に濡れている姿は美しく、憂鬱な気分も吹き飛んでいきますね。

 今月も先月に引き続き「所有者不明土地の解消に向けての不動産に関するルールの変更について」ご説明させて頂きます。

 相続土地国庫帰属制度の創設

 Q. 「どんな制度なの?」

 A. 都市部への人口移動や人口の減少・高齢化の進展などを背景に、土地の利用ニーズが低下する中で土地所有に対する負担感が増加しており、相続された土地が所有者不明土地の予備軍となっています。

 そこで、上記予防の観点から、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣(窓口は法務局です)の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。

 Q. 「誰でも申請できるの?」

 A, 基本的に、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば申請可能です。売買等によって任意に土地を取得した方や法人は対象になりません。また土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。

    Q. 「どんな土地でも引き取ってくれるの?」

 A, 下記のような通常の管理又は処分をするに当たって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となります。

       ● 建物・工作物・車両等がある土地         ● 境界があきらかでない土地

       ● 担保権などの権利が設定されている土地      ● 危険な崖がある土地

       ● 通路など他人による使用が予定されている土地   ● 土壌汚染や埋設物がある土地

   Q. 「手続きにはお金がかかるの?」

 A, 申請時に審査手数料を納付いただくほか、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付必要。具体的な金額や査定方法は、政令で定められる予定です。

 民法ルールの見直し

 土地・建物に特化した財産管理制度の創設 令和5年4月1日施工

  Q. 「どんな制度なの?」

  A, 所有者不明土地・建物や、管理不全状態である土地・建物は、公共事業や民間取引を阻害したり、近隣に悪影響を発生させるなどして問題となりますが、これまでその管理に適した財産管理制度がなく、管理が非効率になりがちでした。

 そこで、土地・建物の効率的な管理を実現するために、所有者が不明であったり、所有者による管理が適切にされていない土地・建物を対象に、個々の土地・建物の管理に特化した財産管理制度が新たに設けられました。

 Ⅰ. 所有者不明土地・建物の管理制度

 調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人(※)を選任してもらう事が出来るようになります。

       ⇒管理人は裁判所の許可を取れば、所有者不明土地の売却等もすることができます。

Ⅱ. 管理不全状態にある土地・建物の管理制度

 所有者による管理が不適当にある事によって、他人の権利・法的利益が侵害され又はその恐れがある土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人(※)を選任してもらう事が出来るようになります。

   ⇒ひび割れ・破損が生じている擁壁の補修工事や、ゴミの撤去・害虫の駆除も管理人は可能。

    ※管理人には、弁護士・司法書士等のふさわしいものが選任されます。

 遺産分割に関する新たなルールの導入 令和5年4月1日施工

 Q. 「新たなルールはどんなもの?」

 A.  遺産分割をする際には、法律で定められた相続分(法定相続分)等を基礎としつつ、個別の事情(例えば生前贈与を受けたことや、療養看護等の寄与をしたこと)を考慮した具体的な相続分を算定するのが一般的です。しかし長期間が経過するうちに具体的相続分に関する証拠等がなくなってしまい、遺産分割が難しくなるといった問題があります。

  ⇒長期間経過後の遺産分割のルール

   被相続人の死亡から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として、具体的相続分を考慮せず、   法的相続分又は指定相続分によって画一的に行う事とされました。

 相隣関係の見直し 令和5年4月1日施工

 Q. 「どんな見直しがされたの?」

 A①. 隣地使用権のルールの見直し

   ⇒境界調査や越境してきている竹木の枝の切り取り等のために隣地を一時的に使用することが出来る  ことが明らかにされるとともに、隣地の所有者やその所在を調査しても分からない場合にも、隣地を使  用することが出来る仕組みが設けられました。

 A②. ライフラインの設備の設置・使用権のルールの設備

  ⇒ライフラインを自己の土地に引き込むために、導管等の設備を他人の土地に設置

  する権利や、他人の所有する設備を使用する権利があることが明らかにされるとともに、設置・使用の  ためのルール(事前の通知や費用負担などに関するルール)も整備されました。

 A③. 越境した竹木の枝の切り取りのルールの見直し

  ⇒催促しても越境した枝が切除されない場合や、竹木の所有者やその所在を調査しても分からない場合  等には、越境された土地の所有者が自らその枝を切り取る事が出来る仕組みが整備されました。

  (わざわざ裁判をしなくても枝を切れるようになります)

 

 ここまで紹介した制度は令和5年4月から段階的に施工されますが、細かい日程はそれぞれ異なります。現段階では最終的に令和8年4月までに全てが施工されると法務省は発表しています。

 土地を相続することで、様々な負担を抱えてしまう可能性があり、所有者不明土地問題の原因になりえます。今回の法改正によって、国庫に帰属できる制度や管理人を選出できる制度も設けられるため、これまでの負担を軽減することが可能となるでしょう。さらに土地の相続人は、新規・変更に伴い登記申請が必須となるため、所有者不明土地問題の解消に期待できます。

 法改正についてのご質問や相続に関するご相談は、私神谷(かみたに)までお気軽にお問合せ下さい。


売買事業部  相続支援コンサルタント
神谷 智之(かみたに ともゆき)

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、相続支援コンサルタント 有資格者
一宮市在住。地域の不動産売買は私にお任せください。

【関連記事】 資産コンサルティング